インディアンフルート » 演奏テクニック

はじめに

(インディアンフルートの吹き方について、ブログ「音があれば天国」に試聴サンプル付きでいろいろ説明しています。こちらの方を見ていただいたほうが、詳しく分かると思います。)
» ブログ「音があれば天国」

このページでアドバイスしているインディアンフルートを上手に吹くコツは、「プロミュージシャンではない人が自分で楽しめる程度に上手になる」ことを目標にしています。それは例えば学生やサラリーマンや八百屋のおやじが自分でフルート吹いていて、「お、今のちょっといいんじゃない?」とこっそり自惚れたり、他の人に聴かせて「いやーよかった感動した」とお世辞5割くらいでほめてもらえる程度です。

装飾音

笛の演奏中にピョロロ~と入る、アレです。国や文化や笛の種類によって装飾音の入れ方に特徴があって、装飾音の違いが笛の個性になっています。「カレー粉さえ入っていればナマ煮えでもカレーだ」と言い張るなら、装飾音を入れれば取りあえずインディアンフルートっぽく聞こえます。

インディアンフルートらしい装飾音

これだけ覚えてください!!
ピーと音を出しながら左人差指を素速く開けて閉じます。1回、あるいは2回続けて、あるいは3回続けて、できるだけ素速くです。端から見ていると人差指はほとんど上下しません、すきまがあいたと思ったらすぐにふさぐ感じです。そしてこのとき同時に舌で「ふるっ」「ふるるっ」と息を切ってください。指の動きと舌の動きでフルートの音がボコボコになり、強烈な装飾音になります。

この左人差指による装飾音は、どの音を出していても関係なく常に左人差指で行います。

どこに装飾音を入れるか

一つの音に関して言うなら、音の鳴り始めに入れるか、途中に入れるか、鳴り終わりに入れるかです。

鳴り始めに入れる
音の鳴り始めからわずかに遅れてピョロロ~と入れます。「わずかに遅れて」というのは0.5秒以上の1秒未満の…どれくらいでしょうか、短いような長いような。感覚としては、聴いている人が「あれっ、装飾音を入れないのかな?」と思った瞬間にピョロロ~と裏切る感じです。と言ってもそんなに正確な話ではありませんし、失敗して誰かが困るわけでもありません。そのように意識してください、程度のことです。
途中に入れる
特に長い音の場合、「あー飽きてきたなあ、間が持たないなあ」という感じにピョロッ、ピョロロッと不規則に入れます。
鳴り終わりに入れる
これは今までの説明と少し違います。音が鳴り終わる寸前に全部の指穴をいっせいにパッとあけます。「ピー…ョッ」という感じになります。指穴を開けるタイミングで息を強く吹いたりすると台無しになります。息はあくまですっと切って、音が消える寸前に指だけ動かします。この装飾音はかなり珍しい、インディアンフルートらしい装飾音です。

また曲全体を見渡すと、曲は音程が上がったり下がったりしますが、この、音程が上がっているときは装飾音を入れません。音程が下がっているときに装飾音を入れます、長く伸ばす音があれば特にそうです。ただし装飾音を入れることができる音の全部に装飾音を入れると訳が分からなくなります。要所だけ入れてください。それはどこ?例えば音程が上がっていって、下がった瞬間の音にはほぼ確実に装飾音を入れます。……CDを聴いて身につけるしかないと思います。2曲だけでいいから完璧にマネられるようになってください。そうすれば自分なりのスタイルが確立されると思います。大変そうですか?逆に、この程度でインディアンフルートはモノになるんですよ。

ビブラート

笛の演奏中にピー~~~と音を揺らすと柔らかい感じに聞こえます。これがビブラートです。ビブラートをかけるとなんだか急に上手になったように聞こえます。

ビブラートのかけ方

インディアンフルートをふーっと吹きながら「ふふふ」と笑ってください、うふふふふ。息がブレて音がゆれます。やってることは要は、そういうことです。次にそれを意識的にいろいろやってみてください。

  • ゆっくり
  • できるだけ速く
  • ゆっくりからだんだん速く、速くからだんだんゆっくり
  • 大げさにやったり
  • 聞き取れないくらいわずかにしてみたり

笑うときの筋肉を意識的に使うことは日頃あまりないでしょうから、身体に覚えさせるのにしばらく時間がかかります。「1日30分」みたいにヘンな目標を立ててがんばると飽きて投げ出しますので、CDを聴いたりマネしたり、他のことをしながら気長に練習してください。そんなに難しいことではありません、慣れの問題です。

インディアンフルートらしいビブラート

国や文化や笛の種類によってビブラートが違います。日本の笛は一般にビブラートをかけません。音をゆらすことは下品だとされます。逆に西洋のフルートはいつも音をゆらします。ビブラートをかけない音は貧相だと言い切ります。

インディアンフルートは、伝統的にはきつい-音がぶつ切りになるほどきつい-ビブラートをかけます。でも最近のヒーリングミュージックなどで使われるインディアンフルートは、ビブラートをかけずに音をまっすぐ伸ばします。音色そのままの美しさを魅せているのでしょう。でもわずかのブレもなくまっすぐ音を伸ばすのはものすごく難しいです。ビブラートの方がごまかしやすいです。困ったらビブラート。

音のイリとヌキ

装飾音とビブラートは、カレーで言えばカレー粉とブイヨンベースです。これが入っていれば確かにカレーだし食べられないことはありません。でも最後に客を「旨い」とうならせるのは結局、素材のおいしさだとか心のこもったていねいな調理だとか、あたりまえのことだったりします。インディアンフルートで言えば「一つ一つの音をきれいに鳴らしましょう」ということです。

「一つ一つの音をきれいに鳴らす」とは音のイリとヌキをきちんとしましょう、ということです。

  • イリ=音の鳴り始め
  • ヌキ=音の鳴り終わり

これが意外と難しい上にぱっとした効果もありませんから、なんともやりがいがありません。最初は気にしなくていいです、そんなことがあるのだと頭の片隅に入れておいてください。将来、「装飾音やビブラートを入れてるのに、なんだかぜんぜん冴えない」と思うことがあれば、練習してください。一つ一つの音をきれいに鳴らすようにすると、演奏全体が見違えるようによくなります。

イリ

音の鳴り始めを分類するなら、次の3通りになります。

ふーっと吹く
出だしのぼんやりした柔らかい音になります。速いメロディーはムリです。曲の始まりや、曲の途中で一息ついて次のフレーズをおもむろに吹き始めるときに、柔らかい感じを演出するのに使います。
ぷーっと吹く
唇を使って音を区切ります。「ふー」よりももう少しはっきりした音になります。速いフレーズはムリですが、インディアンフルートらしいおっとりした感じになるので積極的に使います。
るーっと吹く
舌を使って音を区切ります。「るるるるっ」と素早いフレーズも区切ることができます。万能と言えば万能ですが音がカチカチになってしまいます。出だしを「ふー」から初めて、中はできるだけ「ぷー」を使い、速いところを「るるる」でこなす、というバランスがよいでしょう。

「ふー」「ぷー」「るー」の配分バランスは人それぞれです。大好きなプレイヤーを見つけてその人のまねをするのがよいです。

タンギングについて

「るるるっ」と舌で音を区切ることを西洋ではタンギングといいます。西洋のフルートやリコーダーにとってタンギングは重要必須科目ですが、インディアンフルートはできたほうがいい、程度です。逆にタンギングをきっちりしすぎると、なんだか西洋のフルートやリコーダーの音のように聞こえてくるから不思議です。もちろんそいうい硬い音を使うインディアンフルート奏者もいて、それはそれでかっこいい。結局、自分はどんな音が好きなのかというのが第一で、それに合ったアドバイスを聞けばよいです。

ヌキ

曲の最後をすーっと長く伸ばして終わるのは至難です。これがきれいにできればプロになれます。どう教えたらよいものか、コツも何も、自分の音を自分の耳で聞きながら細心の注意で息をしぼっていきます。人前で吹いているときにこれができるようになるには相当の練習が必要でしょう、私はできません。

もっと初心者向きのアドバイスとして、「初心者は音を止めるタイミングが半拍早い」というのがあります。なぜだかそういう傾向があります。「きちんと拍子をとって音を伸ばしているのに、なんだか音がぶつ切りに聞こえる」という場合は、「ここで音を止めるっ!」と思ったタイミングから更に半拍だけ音を伸ばして止めてみてください。感覚としては自動車のブレーキを踏んだけれどいきなり止まれなくて何メートルか進んで止まった、という感じでしょうか。

それとインディアンフルートならではの奥の手があります。音の最後に入れる装飾音、「ピー…ョッ」のことです。こっちの方がまだ簡単にマスターできます。曲の終わりで「だめだ、音がヘタるっ」と思ったら「…ョッ」とごまかしましょう。それでも文句を言う人はいないでしょうから。