倍音で演奏する指穴のない笛
倍音というと、ギタリストならギターをハーモニクス(ハーモニック)奏法したときのあの、ピーンという澄んだ音のことを思い浮かべるでしょうか。
あるいは民族音楽をかじっている人ならモンゴルの唱法ホーミーを挙げるでしょうか。特殊な発声方法によりたった独りで和音を歌うさまは、初めて聴いたときは驚愕しました。チベットのお坊さんたちが唱える声明も不思議な響きです。
口琴は倍音を使って音色の変化を楽しむ珍しい楽器です。だから口琴を持っている人は「口琴こそ倍音楽器の王様だ」と推すかもしれません。でもトランペットなど金管楽器も、倍音と切って切れない関係にあります。なんてたって倍音を使ってドレミを出すのですから。ラッパの音はあれは全部、倍音です。
金管楽器と同じように倍音だけを使って演奏する笛が存在します。オーバートーンフルートと呼ばれる一群の笛で、指穴が一つもなく、吹く息の強弱で音程を変化させ演奏します。オーバートーンフルートの発音原理は開放管の気柱共鳴の原理そのままです。オーバートーンフルートの音階は倍音列に乗っています。
- 問)
- 倍音列に乗った音階ってどんなの?
- 答)
- ド・ド・ソ・ド・ミ・ソ・シb・ド・レ・ミ・ファ#・ソ・ラ・シb・シ・ド...
これがどんなふうに聞こえるのか、ぜひ自分で実際に吹いて確かめてください。
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【倍音】
音声学・音響学的には倍音とは、ある周波数の音(=基音)が鳴っているとき、同時に鳴り響く小さな甲高い音のことをさします。自然世界のあらゆる音は倍音成分を含んでいるのが普通です。騒音だってたくさん倍音を含んでいます。気持ちいい音と騒音の違いは倍音の数や量ではなくて、構成の質の違いです。
倍音の整った音は美しい音です。シンギングボールなど整った倍音を多く含む楽器は音楽療法や倍音浴に使われます。
» ブログ「音があれば天国」 倍音とは何か?