ヨーラムのディジュリドゥ
―楽器とは何か―を真剣に考えさせられてしまう、形と音。
似た楽器は他になく、世界で唯一とも木管楽器の化石とも言われています。
福岡ディジュリドゥ吹こう会の幹事による模範演奏↓
YRMDGI0000: 作品番号0
Dキー、46cm×26cm×10cm、1.8kg
★ 蛭や内臓を連想させる柔らか質感(木製なので硬いですけど)。ディジュ仲間でもダントツに目立ちます。クッションバッグ付なのでバスや電車で楽々運搬。バックプレッシャー充分で吹きやすく初心者の練習にもよい。
YRMDGI0001: 作品番号1
Dキー、51cm×16cm×10cm、0.6kg
★ ディジュ仲間でもひときわ目立つ形と模様。肩提げクッションバッグ付なのでバスや電車で楽々運搬。バックプレッシャー充分、吹きやすいので初心者にもお勧め。
西洋の常識の通じないアボリジニの木管ラッパ
「みんなが選ぶヘンな楽器ベストテン」を募れば余裕でレギュラー入りしそうな異形です。ぶよぶよと柔らかげな触感は、製作者言うところの「蛇のイメージ」というより、サナダムシとかヒルとか、そんな気色悪い輩を連想してしまう。
手に取ってみると、サイズの割に意外に重くて…そして堅い。木で出来ているのですから当たり前ですけど。ちなみにこの形は実際に長い木管をぐにゃぐにゃ曲げたわけではなく、四角いブロックからこのような形を削りだしています。
緩やかに曲がりくねった木目が形の異様さを更に強調していますが、よく見るとこれは木目ではありませんよ。色違いの木材を交互に重ねあわせて縞柄のブロックを自作して、そして削りだしているのです。見る目のある人が見ないと気がつかないような、地味に細かい手間暇をかけています。
音はぶいぶいという自己主張の強い低音です。そしてそれだけ。同じ音しか出ません。だからこれでなにかのメロディーを演奏するというより、ベース楽器やリズム楽器のような使い方をします。野蛮で原始的な雰囲気なのに、シンセサイザーで合成したようなハイテクな印象でもあります。下のYouTubeは製作者ヨーラム・シーバン自身による演奏。
ディジュリドゥについて
ディジュリドゥ(ディジュ)はオーストラリアの原住民に伝わる巨大な木管ラッパです。
吹口に口を当てて、アヒルのようにした唇をぶーぶー鳴らすと、それが木管に共鳴して大きな音がします。(ラッパはみんなそうやって鳴らします。ラッパの音は、唇のぶーぶーいう音です。)
音は地に響くような低音で、そしていつも同じ音です。ですから西欧のラッパのように、これでなにかのメロディーを演奏する、というようなことはしません。ベース楽器やリズム楽器のような使い方をします。
ディジュを吹きながらラップやボイスパーカッションを口ずさむと、ぶいよぶいよと強烈に音色が変化します。これがディジュのいちばんの個性です。吹きながら同時に「うー」と声を出して唸ったり「わんわん!」と吠えたりもします。野蛮で原始的な雰囲気なのに、シンセサイザーで合成したようなハイテクな印象でもあります。
ディジュを吹くときには『循環呼吸』という特殊な呼吸法を使います。
口から息を吐きながら同時に鼻から吸いこむという奇天烈な呼吸法で、これにより、ディジュの音はびよーーーー…といつまでも途切れることがありません。演奏者の息づかいのリズムを感じさせない、この独特の浮遊感もディジュの音の特徴になっています。
ディジュはダンス系・トランス系のミュージックと相性がよく、現在では世界中で演奏されています。
ヨーラムのディジュについて
オリジナルのディジュは長さが1.5mほどあって重いので、持ち運びが大変です。ディジュを気軽に持ち歩きいろんなシーンで楽しめるようにと、カタツムリにようにぐるぐる巻いたり3折りにしたりして、小さくまとめた『トラベルディジュ』『コンパクトディジュ』が発明されました。
これらの不思議な形のトラベルディジュは、イスラエルのアーティスト、ヨーラム・シーバンの作品です。色違いの木材を貼りあわせてモザイク模様にしたり、わざとスクラップ感を出したり。染めたりペイントしたり、形も微妙に変えてみたり。一つ一つの作品に工夫を凝らします。
いつも同じ製品をきちんと納めてくれる職人と違って、作品(アート)を作る芸術家は商人泣かせです。お金よりもまずはみんなをびっくりさせたい。「同じ物は二度と作りたくない」「好きに作りたい」と公言してはばかりません。まあそこは仕方ない譲るしかありません。(一つ一つ写真を撮ってウェブカタログに掲載します。)
ストリートやライブステージで
このトラベルディジュは、まずはバックパッカーなど旅行者にお勧めです。もともとそれ用の楽器ですからね。カタログに載せている写真は至近距離から撮影したので大きく写っていますが、手に取ると意外に小さいです。重量は軽い…とは言えませんが、オリジナルのディジュと比べるまでもなく扱いは楽。ぜひ旅のお供にしてあげてください。
ただ旅先でディジュを楽しみたい、とにかく音が出たらいいや。という用途であれば、木箱みたいなトラベルディジュが安価に出回っています。でもせっかく異国の街角や公園で演奏するんだから、やっぱり目立ちたいもの。ヨーラムのディジュならもうインパクト抜群です。
ライブステージでの演奏にもヨーラムのディジュをお勧めします。
ライブステージでは演奏も大切ですが、見た目のパフォーマンスだって重要です。ヨーラムのディジュの外観はそれだけでインパクト抜群ですし、サックスのように抱えてスタンディングプレーもできます。ディジュを吹きながらステージを歩きまわったりする演出も可能です。あなたのディジュプレイをもっとアクティブにしてください。
最後に、今からディジュを始めるという初心者にもお勧め…しましょう。ヨーラムのディジュはオリジナルのディジュと比べて、音が大きく派手で明るい音色です。子音がはっきり聞こえるので、最近主流の速吹きに向いています。ダンス系やトランス系の音楽と特に相性がいいと言える。派手な形をしていますしね。バックプレッシャーはしっかりしていますから、循環呼吸をマスターするのにもよいでしょう。
なによりも気軽に持ちだして、公園でも川縁でもどこでも遊べるのがいいです。楽器の上達は単純に演奏した時間に比例します。大きな重いディジュを買ったものの、アパートでは鳴らせないし、最初のうちこそ近所の公園まで担いでいって吹いていたが、最近はずっと押し入れにしまい込んだまま…。そんなことになるくらいだったら、最初は機動性の高いトラベルディジュを購入する、という選択肢もありだと思います。
ヨーラムのディジュは楽器としても完成度が高いので、安心してお勧めできます。(もうすこし安価だったらなと、私も思いますけど。ヨーラムにも生活がありますしね。)