レッドパイプ
電子バグパイプという、バグパイプの形をしたシンセサイザです。
リコーダしか吹けないあなたもこれでロックバンドの仲間入り!
レッドパイプを演奏してみました↓
PCのバグパイプ・シンセをロックに使用した例↓
REDPIP000BK: クラシック(黒)
★ ブレスコントロールのできない零号機。
外観といい演奏する姿といい、とてもリアルとは言い難いが……これを抱えて堂々とステージ演奏しているYouTube動画を見かけるので、これはこれでアリなのかも。バッグを締めつけなくても指を動かすだけで演奏できるので、楽ちんといえば楽ちん。
REDPIP000RD: クラシック(赤)
★ ブレスコントロールのできない零号機。上のモデルの色違い。
YouTubeの演奏動画では、ふつうはトランスミッタで音を飛ばすところを、これ見よがしにケーブルを引き回してエレキギターみたいな速弾きをやってた。つまり「どうよ電子バグパイプだぜぇーっ」という開き直った演出で、なるほどそういう見せ方もあったかと感心した。
REDPIP001: クラシック・エア
★ ブレスコントロールを搭載した基本モデル。
クラシック・エアは見かけこそシンプルだが、演奏性能は他のモデルと全く同じ。特別に親指の指穴が2つあってフランスのコルヌミューズの運指にも対応している。
他のモデルに付いている長いドローン管は単なる飾りで、そのわりに狭い部屋ではけっこう邪魔になる。スタジオ録音だけするなら、いっそこちらの方が使い勝手よいかも。あるいはこれに布バッグを着せたり、うそドローン管を付けたりして、リアルな外観のバグパイプに仕立てあげるとか?
REDPIP002BK: カレドニア(黒)
★ クラシック・エアにグレート・ハイランド・バグパイプ(GHB)の外観を被せたモデル。音色と運指を”GHB”に設定すれば完璧。
日本で「バグパイプ」というとこれを指すほど有名なバグパイプ。ライブステージでも「ああっそれなんか見たことある!」と客の食いつきを期待できそうだ。外観はGHBでも中身はシンセサイザなので、音色やキーは自由に変えられる。本物のGHBを知っている人からすると違和感があるかもしれないが……飽きさせないので、客を楽しませるという目的には十分適うと思う。
REDPIP002RD: カレドニア(赤)
★ 上のモデルの赤色バージョン。
屋外のパレードやスタジオ録音では本物を演奏して、ライブステージではレッドパイプを演奏する、という使い分けをしている演奏者もいるらしい。確かにピッチの外れたGHBほど聞き苦しいものはない。私の価値観としては、お金を取ってライブステージをするなら、ある程度リアリズムを犠牲にしてでもピッチだけは合わせたいところ。
なお写真のコントロールパネルにはプリセットメモリが搭載されているが。プリセットメモリは有料なので、最初から搭載しているわけではないので。
REDPIP009: スモールパイプ
★ クラシック・エアにスモールパイプの外観を被せたモデル。音色と運指を”スモールパイプ”に設定すれば完璧。
スコットランドのミュージックパブで演奏される小型のバグパイプ。スコットランドといえば上述のグレート・ハイランド・バグパイプが有名だが、屋外で演奏する用なのでけたたましい音がする。ミュージックパブでギターやアコーディオンなどと合奏する用には、この小さなバグパイプが使われる。静かなのんびりした音。
REDPIP003: アヴァロン
★ クラシック・エアに中世バグパイプの外観を被せたモデル。オプションのドラゴンヘッドを装着可能。音色と運指を”中世バグパイプ”に設定すれば完璧。
英国やアイルランドのロックバンドは上のカレドニアを使って、ドイツやイタリアのロックバンドはアヴァロンやキャメロットなど使う傾向がある。演奏する音楽のベースが何なのか、というところで決まるのだろう。
REDPIP004: キャメロット
★ クラシック・エアに中世バグパイプの外観を被せたモデル。オプションのドラゴンヘッドを装着可能。
上のアヴァロンよりもマッチョな印象なので、ヘヴィメタやパンクで演奏しても様になると思う。日本が明治維新以降に西洋音楽を輸入したのと異なり、彼らの音楽は中世から現代まできれいに繋がっている。彼らの古楽のロックアレンジはほんとうに美しくてかっこいい。
REDPIP005: メタル
★ クラシック・エアに空想のバグパイプの外観を被せたモデル。オプションのドラゴンヘッドを装着可能。
名前から連想されるようにヘヴィメタで演奏することを想定している。トゲトゲ革ジャンのファッションにぴったり。だが民族衣装も意外に似合うことが分かっている。
私は自分のメタルにドラゴンヘッドを付けているけれど…どうなんだろう。今見ると、そのままでもスマートで美しいデザインだと思う。ちなみにドラゴンヘッドは外せるけど、外すと取りつけ部分がすっごいみっともないので人前では外せない。ドラゴンヘッドを付けるかどうかは、最初によく考えるべき。
REDPIP006: ガレガ
★ クラシック・エアにガイタ・ガレガの外観を被せたモデル。音色と運指を”ガイタ・ガレガ”に設定すれば完璧。
スペインは英国やアイルランドと並ぶケルト音楽の盛んな国。エヴィアやカルロス・ニュエスといった演奏家の活動により、日本でもスパニッシュ・ケルティックが知られるようになった。今やちょっとマニアックな人なら、バグパイプというと、昔から知られているGHBよりも敢えてこのガイタ・ガレガを挙げたりする。
ちなみにこのような房飾りの付いた派手な意匠は、フェスティバルでパレードするなどの晴れ舞台用。日常で楽しむ用として、次のエポナみたいな質素な意匠のガイタ・ガレガもある。
REDPIP007: エポナ
★ クラシック・エアにガイタ・ガレガの外観を被せたモデル。音色と運指を”ガイタ・ガレガ”に設定すれば完璧。
上のガレガが晴れ舞台用の派手な意匠であるのに対して、こちらは日常で楽しむ用の質素な意匠。房飾りなどのパレード用の装飾がなくなっている。レッドパイプは中身はみんな同じなのでどっちも同じだけど。
トリビアとして、現物のGHBとガイタ・ガレガを比較すると、数値的なスペックはガイタ・ガレガの方が上。音域は広いし半音も演奏できるし。レッドパイプは中身はみんな同じなのでどっちも同じだけど。
REDPIP008: マーリン
★ クラシック・エアに中世バグパイプの外観を被せたモデル。オプションのドラゴンヘッドを装着可能。音色と運指を”中世バグパイプ”に設定すれば完璧。
真っ黒なバッグと真っ黒なパイプ。形状は中世バグパイプだが、ロックバンドで使用することを意識したデザイン。
REDPIP901: オプション、ドラゴンヘッド
★ ドラゴンの頭蓋を模した装飾。
これをバグパイプに取り付けるとあたかも「ドラゴンが笛を吹いている風なグロテスクな操り人形」といった風情になる。本物のバグパイプでも時代や文化によってヤギやロバなどの人形の頭を取り付けたりするので、奇抜なアイデアではない。
ドラゴンヘッドを取り付けるために、チャンター管の根元の接続部品を専用の部品と交換する必要がある。なので後から買って自分で取り付けるということができない。また取り付けたドラゴンヘッドを外すことはできるが、外すと露わになる接続部品がすっごいみっともないので、人前では外せない。つまりドラゴンヘッドは後から付けることはできないし付けたら外せない。ドラゴンヘッドを付けるべきかどうか、購入時によく考えること。
材質は脆く割れやすい。割れたり欠けたりしたら自分で修理する覚悟をしておくこと。私のドラゴンヘッドも最初からあちこち欠けていて、自分で接着剤で修理した。
REDPIP902: オプション、プリセットメモリ
★ ツマミを回すことにより、予め登録しておいた音色やキーなどの設定を瞬時に切りかえることができる。ライブステージで重宝するはず。
後から搭載することができないので、購入時によく考えること。
※ バグがあるっぽい。私のメタルでは設定を登録できたりできなかったりする。これがまた日によって問題なく登録できたりするので、折を見て何度も登録を試みるなど、運用でカバーしている。登録した設定が消えるという事故は今のところないので、登録できさえすればこちらのもの。
CKGRS001: コルクグリス
★ ブロウ管やドローン管のジョイント部分に使用する。
レッドパイプはブロウ管やドローン管を引き抜いて分解することができる。レッドパイプを演奏するとブロウ管やバッグの中が湿気でびしょびしょになるので、演奏した後は分解してバッグの中の空気を追い出し、乾燥させる必要がある。また組み立てたままの状態で半年など放置すると、ジョイント部分が固まって分解できなくなるので、そういう意味でも演奏しないときは分解しておくのが望ましい。コルクグリスはジョイント部分が摩擦で傷つかないように、潤滑剤として使用する。小学校のリコーダに使うような100円くらいの安物でも問題なし。
PANDORAmini・黒
★ ギター練習用マルチエフェクタ
レッドパイプの生の音は痩せているので最低限でもコーラスで音に厚みを持たせたいところ。そのようなエフェクタを最初から内蔵しているアンプスピーカを使っているなら不要だけど、状況によってはこのようなマルチエフェクタで積極的に音を加工することも考慮するとよい。
レッドパイプ用の設定ファイルを用意しました。PANDORAminiに転送して使ってください↓
» レッドパイプ用の設定ファイル
(他の楽器やCDも買うと1,400円引き)
消費税10%- 指穴の数: 8
- キー: 設定次第
- 音域:1オクターブ~1オクターブ半(運指に依存する)
- 運指:GHB、中世バグパイプ、ルネサンス、ガイタ・ガレガ
- 音色:GHB、スモールパイプ、中世バグパイプ、ガイタ・ガレガ
- 材質: バッグは本革、パイプは木と一部プラスチック、電子部品
- 電源:単三乾電池x2本
- 出力:3.5mmステレオイヤホン出力、6.3mmモノラルライン出力、MIDI出力
- その他:ビブラート表現対応、スライド表現対応、メトロノーム機能
- サイズ: 分解して丸めると55cm×27cm×18cmくらい
- 重量: 2kgくらい
- 付属品: 操作説明書(英語版)、操作説明書(日本語訳版)
本物そっくりのバグパイプ・シンセ
レッドパイプはバグパイプの形をしたシンセサイザです。
見かけはふつうにバグパイプですが、バッグの中には電子回路が詰まっていて、チャンター管(メロディー管)の指穴には金色のタッチセンサが埋めこまれています。電源は単三乾電池2本。ふつうのキーボードのようにライン出力からケーブルを引っぱってアンプ・スピーカに繋いで鳴らします。
バッグには空気圧センサが仕込んであって、常に内部の空気圧をモニタリングしています。本物のバグパイプと同じように息を吹きこみバッグを膨らませて締めつけて、初めて音を出すことができます。本物のバグパイプと同じように息継ぎを上手くやらないと、音が止まったりよろけたりします。芸が細かい。
バグパイプについて
レッドパイプについて説明する前にまず、本物のバグパイプについて説明しましょう。
バグパイプはその名のとおり、バッグ(革袋)にオーボエのようなリード笛を取りつけた楽器です。バッグに息を吹きこみパンパンに膨らませて、バッグを締めつけ中の空気を絞りだして鳴らします。バッグが萎んだらまた息を吹きこんでパンパンにします。バッグからは絶えず空気が出てくるため、バグパイプの音は切れ目のない、にょろにょろ繋がった音になります。
バッグには息を吹きこむブロウ管とメロディーを演奏するチャンター管が付いています。その他にあちこちからとび出ているパイプは、伴奏を担当するドローン管です。ドローン管は「ドーーーー」「ラーーーー」のように、一つの音をずっと鳴らしつづけます。バグパイプが世俗音楽の花形だった中世の頃、音楽は原始的で、伴奏といえばとにかく同じを音をずっと鳴らしていればOK、みたいなノリでした。
日本でバグパイプといえば、スコットランドのグレート・ハイランド・バグパイプ(GHB)が有名でしょう。最近はアイリッシュ音楽やケルト音楽の人気に伴い、アイルランドのイーリアン・パイプやスペインのガイタ・ガレガなども知られるようになりました。
日本では珍しいバグパイプですが、西欧・東欧から黒海東岸のトルコ、ブルガリアあたりまで、たくさんの国で演奏されています。
シンセサイザならではのメリット
レッドパイプはドイツのレッドパイプ社の製品です。
シンセサイザなので本物のバグパイプにはない、いろいろなメリットがあります。
スイッチONですぐ演奏できます。
どんな過酷な環境で演奏しても決してコンサートピッチを外しません。これはシンセサイザ最大のメリットです。
チューニングが不要なので、初心者にもハードルが低いといえるでしょう。望むなら445Hzのような微妙なピッチに調整することもできます。
キーを変えられるのもありがたい。
本物のバグパイプは、GHBならBbキー、ガイタ・ガレガならCキーといった具合にキーが決まっていますから、演奏できる調は大きく制限されます。レッドパイプならどんな調の曲でも演奏できます。
1台でいろんな音色が使えるというのも重宝します。
GHB、ガイタ・ガレガ、中世バグパイプなど、ありがちな音色が登録されています。(イーリアン・パイプの音色がないのが個人的には残念です……)
運指も自由に選べます。
有名なバグパイプの運指がひと揃い用意されていますから、自分に合った運指で演奏すればいいです。GHBの音をガイタ・ガレガの運指で演奏する、というようなこともできます。
ガイタ・ガレガの運指はリコーダとよく似ています。特にこだわりがなければガイタ・ガレガの運指をお勧めします。楽器といえば小学校のリコーダしか演奏したことがない、という人でもバグパイプを楽しむことができるでしょう。
バッグを強く締めつけると音がずり上がります。これはレッドパイプ独特の操作で、ふつうは指穴をゆっくり開けることによって音をずり上げるのですが。この音をずり上げる技はアイルランドでは”スライド”と呼ばれていて、イーリアン・パイプのソロ演奏で特徴的に聞くことができます。
レッドパイプでもそっくり同じとはいきませんが、それっぽい?真似をすることができます。この機能は個人的に気にとても入っています、けっこう遊べます。
そうそう、レッドパイプはシンセサイザですから重要なのは内部の電子部品であって、外観は単なる見せかけです。レッドパイプにはいろんなモデルがありますが、あれらはぜんぶ外観が違うだけで、中身は同じです。プロのミュージシャンになると、自分だけのオリジナルの外観を特注したりするみたいですね。何十万円かかるのか知りませんが。
音の加工は必須
一方でレッドパイプの短所は……本物と比べてどうにも音がショボい、ということでしょうか。
メーカーの名誉のために言っときますけど、レッドパイプの音は、本物のバグパイプを実際に演奏しサンプリングした音を使用しています。
それでもスピーカから出てくるなんの余韻もないモノラルの音は、例えば楽器に聴診器を当てて聞いているようなもので、こんなことをすればレッドパイプでなくてもショボい音になるのは仕方ないことでしょう。
いずれにせよ、レッドパイプの音はエフェクタによる加工が必須です。
リバーブなど空間系のエフェクタは絶対ですし、音に厚みを持たせるためにコーラスやディレイを使うことになるでしょう。どうすればレッドパイプの音をより本物らしく聞かせることができるか。私自身、今も試行錯誤しています。
ただ……レッドパイプって、ライブステージで演奏することを目的に開発された楽器なのですよ。ライブステージでは、たとえ本物のバグパイプであってもマイクで音を拾いアンプ・スピーカで鳴らしますから、まちがいなく音は劣化します。ライブステージで演奏するバグパイプの音なんて所詮そんなものだよね、と割りきって設計された製品だといえます。
ライブステージでこそ真価を発揮します
レッドパイプ社はレッドパイプを「ライブステージで演奏するためのバグパイプ」として開発しました。どんなに過酷な演奏環境でも正確にコンサートピッチで演奏できるバグパイプを追求した結果、シンセサイザにするしかなかった、というのが真相らしいです。
バグパイプはオカリナなど他の民族楽器の笛と同様、気温・湿度の変化に強く影響を受けます。暑いとピッチが上がりますし、寒いとピッチが下がります。確実にコンサートピッチで演奏したければ、予めバグパイプを26℃くらい?に温めておいて、演奏会場もそのくらいの室温にしておく必要があります。
そうして楽屋でバグパイプを正確にチューニングしておいても、ステージで熱いスポットライトを浴びているうちに、温まってピッチが外れてきたりします。
演奏中にピッチが外れるほど怖いことはありません。(バグパイプは1台で複数の音を鳴らしますから、ピッチが外れると他の笛よりもチューニングに時間がかかります。)時間的な余裕のないライブステージでも安心して演奏できるように、この際、ショボい音色に目をつぶってでもレッドパイプを採用するという判断は、十分に合理的です。
ライブステージでバグパイプを演奏するなら、ぜひレッドパイプをお勧めします。どんな過酷な環境でも決してコンサートピッチを外さない、音色やキーを切り替えていろんな曲を演奏できるなど、音色は本物に及ばずとも、それで十分お釣りがくる使い勝手です。トランスミッタを使って音を電波にして飛ばせば、コードを引きずることなくステージの上で存分にパフォーマンスすることができます。
またYouTubeなどに投函する音楽作品にもレッドパイプが使えます。
一言で言って便利です。問題は痩せた音をどうやって本物のように聞かせるか……私もまだ研究中です。っても動画を観る人はあんまり気にしてないみたいですけどね。バグパイプが登場するだけで喜んくれます。YouTubeやニコニコ動画で求められる品質ってそんなもの、人気の曲を探してくる選択眼の方がよっぽど重要だったりします。
製作: レッドパイプ社 (ドイツ)
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